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2024/03/29 20:47 |
■色彩について■
ブライダルの会社に入ったわけですが、結婚式や前撮りばかりが仕事ではありません。
直接現金収入の発生する事以外にもちょっと力を入れています。
弊社では「サプライズ」と呼んでいるようです。

そして、結婚式以外にも会場を使ったレストランもやっています。
そこではしばしば結婚式を挙げて一周年、付き合い始めて一年などの記念のディナーも受けています。



今日は結婚式が来年春に決まっているお二人と、数年前にこちらで結婚式を挙げたお二人の、その記念ディナーがありました。

そこで「サプライズ企画」の一つとして、来ていただいた二人のスナップ写真を撮影してディナー終了時にプリントして差し上げるというモノがあります。

その撮影はもっぱら新人の僕が担当しているので、今日もお二人に驚き&喜んで頂くべく撮ってきました。
ゆかいなトークを交えて。


会場でお二人(時には担当のプランナーさんを交えて)の写真を撮って、オフィスに戻って編集しプリントをしていたのですが、それを後ろで見ていた先輩が「これは色を直したほうがいいよ?」
というので、どういう事なのかを聞いてみると「シアン(色の種類・・・緑っぽい色)がかっていて、これじゃ肝臓の悪い人に見えるでしょ。トーンカーブでグリーンを云々・・・修正しないと。写真としては全然ダメだよ。これをイイと思うならもっと他の良い写真を見て勉強した方がいいよ」
との事。

自分では言うほど問題の無い、というかむしろ自然なイイ色だと思っていただけに、あまりの言われようにショックを受けましたが、その先輩が色彩検定も受かっているというのを以前聞いていたし、何より写真職歴は自分より長いので、まずはその人が正しいと思う色合いを知ろうと思い、修正のやり方を横から見る形になりました。


ところが、修正後に「うん、これを見て」と完成した画像を見て愕然。

良くない気がする・・・。

というのが感想。
あくまでそこは個人の感想。
反発心もあったと思いますが。


で、先輩カメラマンの言う

『緑色を引いて赤みのある色合いにすれば健康的に見える』というの理解できるのですが、その人が最終的に良しとした(「良くは無いけど、修正前と比べれば全然マシでしょ?」とおっしゃった)画像は自分から見れば「妙にオレンジがかっていて、色つぶれした、その場の雰囲気の全く残らない不自然な写真」。
これも僕の超個人的な感想。


僕自身は謙虚では全然ないし、かわいくない後輩ですが、批判されたことに対しては自分の感覚を一度疑ってみるタチなので、今回もちょっと「もしかしたら自分にはイイと思える色合いも一般的には良くないのかも?」という思いが脳裏をよぎりました。

が、その画像に関してはどうも納得がいかない・・・。
うーん・・・困った。

これが本当に先輩の言うとおりに一般的に「悪い色合い」で、修正後の色合いの方がマシだとしたら、自分のこれまで感じてきた色に対する感覚をかなり疑わなければならない。大きく感覚のズレを見直さなければならない・・・。
大袈裟ではなく、そのくらいに自分にはショックでした。
新人カメラマンとしては、今後の人生を大きく左右する致命的な欠陥だと危機感を感じたのです。

というわけで、この場合は双方全く違う感覚なので、(先輩の機嫌を損なわないようにこっそり・・・厳しいんですって。この世界。)第三者に意見を聞くべく、別の写真スタッフ、会社の受付さんなどに二つの写真を見せてみました。



結果は

「修正前の方が自然だし、緑がかり過ぎているとも思わない」
「修正後の方はなんか不自然」
「言っている事は正しいけど、この場合は違う」

色の識別能力は置いといて、色に対する感想は他の人とあまり違わないであろうという話。




知識や先入観って、時には人の感覚を惑わすモノなのかなぁ。

 →不健康

 赤味→健康

その事(知識)にばかり固執して、写真全体や被写体の持つ雰囲気を無視してしまうのは恐いこと。


写真のプロとして、細かい色合いを認識して調整する能力も大事なのはわかりますが、

木を見て森を見ず
ではないけど

物事をパーツパーツに分解して見る事の他に、それらを統合して見る事、一歩引いて全体を見る事が大事なんじゃないかなぁと思いました。

(修正前の自分の仕上げた写真を単体で突き詰めて見ると、それもそれで改善の余地はあるとは思いますが。)


余談。


最も恐いのは、今回のアンケートの結果を先輩に伝えるのが難しい事かもしれない。職人世界だから。
恐いというのは僕にとってだけではなく、先輩にとっても。

あそこまでハッキリと断定されると、それが例え間違った、もしくは偏りすぎた断定でも、それが必ずしも正しくはないですよとは指摘しずらい。
それが先輩相手だとなおさら。


相手に反論の余地、意見を述べさせる余地を与えない事は自分の間違いに気付くきっかけを一つ失う事にもなりかねない。


先輩だろうが後輩だろうが、上司だろうが部下だろうが、自分の意見を述べる時ほど謙虚な気持ちを持って、ほんの少しでも相手にも意見を述べさせるスキを与える事が自分自身を守る事に繋がるのではないではないでしょうか。

プロだからスキなんて見せられないのも、そりゃわかります。



■■■ 補 足 ■■■

自分の意見を押し付けていないか?(特にこの記事に関して)というご指摘を受けたので、補足します。


この記事の”目的”は「誰かを批判する事」ではなく
あくまで現実にこのようなやりとりがあり、そこで自分が何を感じたかという事を伝える事であること。

「客観的に書こう」と心がけてはいるのですが、まずは、記事を書いた当時はやはりそれでも、職人世界独特の「先輩が言うなら白いものも黒」という感じの気質にうんざりしていたので、正直3割増しくらい感情を交えて記事を書いていたと思います。という事。

先輩に都合の悪い結果を伝える事は心苦しいという事に加え、自分にもリスクはあったのですが、他の人の意見と自分の意見を合わせてその先輩本人に話しました。
先輩は結局、更にその先輩の先輩の意見を聞いて、半ば納得したようなしないような・・・そんな感じでした。(それぞれの考え方があるので、それは当然)
ということ。




写真は見る人、受け取る人の満足が一番大切で、
今回の場合も、お客様が満足してくれればそれでOKなのです。
カメラマン同士の意見のぶつかりあい、話し合いはお客様には全くどうでもいい事(むしろ知りたくない世界ですしね・・・)。







結局お客様に対してどうしたかというと、
普段は絶対にありえない話なのですが、先輩の提案で2タイプの写真を見せて好きな方をプレゼントしました。







まとめとして…


今回の出来事や、ブログ記事への反応を聞いて勉強になったなぁというのは、また時間を経て見えてくるのですが・・・

・自分がこうと思った事はやはり本人に直接伝えるべきである事
・記事にする以上は、誤解を受けないよう細心の注意を払うべきである事

加えて、今後も自分の記事を自分自身で読み返して、伝えたい事をきちんと伝えられる文章であるかを再度考え、必要であれば加筆をする事が大切だと思いました。



難しいですね。
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2008/09/08 01:38 | Comments(0) | TrackBack() | フォトグラファー道

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